作事組全国協議会 会員代表者会議 2018 in 倉敷
第5回代表者会議議事録
作成:18.02.20 梶山
日 時: 2018年02月17日(土)AM11:00~PM12:30
場 所: 倉敷市美術館(倉敷市中央2丁目6番1号)
参加者: 奈良・町家研究会・植田氏他3氏、金沢町家・武藤氏、
天橋作事組・大村氏他4名、姫路・町家再生塾・山田氏、
臼杵伝統建築研究会・斉藤氏、荻野氏、
鞆まちづくり工房・松井氏、戸田氏、
八女町並デザイン研究会・北島氏、宇陀・宮奥氏
京町家作事組・京極、木下、内田、井澤、森各氏、梶山
■ 議 題
1.伝統木造町家の法、制度適合化の動きと今後の課題
□ 動き
1)京都の動き
○ 建・基・法第3条適用除外条例の包括同意基準
・一定規模の歴史的建築物について建築審査会同意を省略(3回を1回に)
~通常の町家はほぼ対象、京町家作事組案件で適用を模索中 (別添資料-1参照)
○ 「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」制定(17.11)
~再生研が要望した「これ以上町家を壊さない条例」が実現、
今後重点地区などの詳細を詰めて18年5月から全面実施、
全面実施までに一部(大型町家)に限定され広範な町家や路地奥が
置き去りにならないように働きかける。 (別添資料-2参照)
○ 町家再生作法書第3弾「技と継承」(各職の技を次代に伝える)がほぼ完成。
何らかの形にして公開する予定。
2)各地の動き
□ 八女町並デザイン研究会
・旧八女郡役所を再生活用など最近の動向 (別添資料-3参照)
・一昨年より伝統建築技術を継承するという原点に立ち返り「八女市歴史的建地区物保存修理の技術・技能者講習会」を取組んでいる。昨年12月の講習会では、左官技術が現代に良く伝わっていないので、京町家作事組から萩野さんを迎えて左官技術の具体的話を聞いた。
・昨年、9月30日と10月1日に「九州町並みゼミ八女福島大会」を取組んだ。九州の伝統建築技術の情報交換とネットワークを強めるため、第1分科会では九州の各地で活動している伝統建築技術のまちづくり団体が集まり、現状と課題等について意見交換を行った。この第1分科会を含めた報告書をまとめたので、作全協にデータを送り皆さんと共有したい。
□天橋作事組・大村氏
・市民の歴史的町並みへの関心が高まりつつある-外壁にピンク色のペンキを塗った事例があり、市民からの批判の電話等が市役所宛に多くあった。
・旧平野家住宅が活用を目的に修復され、昨年夏にイリア料理店として開業した。
・宮津カトリック教会を調査した結果蟻害等劣化が激しく、修復が必要な状態になったことをきっかけに文化財登録に向けて教会側が動き出した(かつて文化財登録に反対していた信者が多かったが)。今後修復に向けた詳細調査を進める予定。
□臼杵・斉藤氏
・第5回交流会で報告した歴史的街区の準防火地域解除はスムーズにすすみ、防火上の措置に関する条例の制定も成った。
・ミシュラングリーンガイドで星が付くなど、欧米系の外国人旅行者からの評価は高いが、この1~2ヶ月の間に多くの老舗が閉店するなど商用町家が空き家となり危機感がある。
・宅建業組合と市と所有者と支援組織の連携が課題。
・移住者も増えており、「住みたい田舎ランキング」でも若年世代全国1位になったが、再生や改修工事にリノベ系業者の参入もあり、当会も一層頑張らねばと思っている。
□鞆・松井氏
・2017年11月28日に福山市鞆町の約8.6ヘクタールが、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。
・2017年9月から月一で講師を招いた勉強会を続けている。
・架橋の係争が尾を引き住民が2分された状態。市の幹部?から〝あなた方のグループには人が集まらないから活動はできない〟と宣告された。
・市は架橋をあきらめて域内通過交通バイパスのためにトンネル開削に向けて動き出している。
・今後作全協のサポートが必要になると思う。
□宇陀・宮奥氏
・町家の活用が進まないため、改修事例も増えない。
・担当(森本女史)が配転で他の部署に行き、新たな市の担当者も必死に取り組んでいるが、難しく高度な専門的スキルが必要な伝建制度の運用に即座に対応する事も難しく苦労している。
また伝建制定10年〜経つと住民の中には補助金制度をたんに”金の成る木”に捉える者も居る。
経済優先の現代の価値観のマイナス面からの脱却が課題。
・作法書ができても、それを活用する職人が少ないために仕様変更となり伝統工法から離れていく。地元による改修実践が進まない。
・(店が増えているのではとの問いかけに)町家の所有者が保守的で貸さない。
□金沢・武藤氏
・2年前の北陸新幹線の長野⇔金沢間開通により駅前や東山が賑わい、ホテル建設ラッシュ、富裕層の町家への投資が起こっている。工事実態は、スピード重視の場合、補助金を使わずに伝統工法を尊重しない。
本質的によいものを求める人ばかりではない。
・市内6000棟の町家のうち、年間140棟が壊され、2%超のペースで消失している。
・国総研が昨年から歴史的建築物の修復に関してパブコメを募集しており、意見を求められた。
□姫路・山田氏
・塩本邸では工事中から完成まで協力してもらった。
・塩本さんが積極的に、近隣の方に町家の利活用を勧めてくれている。
・町家ではないが、町並みの中で象徴的な角地の洋風建築(元銀行)を改修する話がもちあがっている。
・1月末に都市景観重要建造物に関する講演依頼があり、町家再生塾の塩本邸改修の経験談、職人高齢化などについて話をした。
□奈良・植田氏
・2/11奈良町家シンポジウム「奈良町家の魅力と未来」開催
奈良町家めぐりガイドマップ作成。
「奈良町ファンタジー」で奈良町の町家や暮らしをテーマに地元住民の町家エッセイ語り、朗読劇「町家よ語れ」などの協賛。
・国、市の事業、町家改修相談会に相談員として参加。
・町家バンクは需要150件に対し、供給は15にとどまっている。
・来年の総会日程について、11月は正倉院展で賑わうので、閑散期の12月開催で検討中。
2.今後の課題
1)各地の「町家性能標準」作製を引き続きお願いしたい―現在八女、京都そして姫路の実施計画―。
出来たら第3弾作法書に入れたいと思っている。先行事例を配布する。
2)(各地の動向を知ることは活動の参考になるので)事務局が数か月単位で定期的に各地の動きを確認してHPに掲載すべき(担当:井澤)